Kuwahara W, Sasaki S, Yamamoto R, Kawakami M, Kaneko F. The effects of robot-assisted gait training combined with non-invasive brain stimulation on lower limb function in patients with stroke and spinal cord injury: A systematic review and meta-analysis. Front Hum Neurosci. 2022 Aug 16;16:969036.
概要
過去のシステマティックレビューにおいて,脳卒中および脊髄損傷のような中枢神経疾患患者に対して,ロボット歩行トレーニング(RAGT)または非侵襲的脳刺激(NIBS)を実施することにより,下肢運動機能が改善することが報告されている。本研究では,中枢神経疾患患者の下肢運動機能の改善に対して,RAGTとNIBSの併用はRAGTと偽刺激の併用よりも有効であるかどうかを明らかにすることを目的として,メタアナリシスによるシステマティックレビューを実施した。
PubMed,Cochrane Central Register of Controlled Trials,Ovid MEDLINE,Web of Scienceを用いて,無作為化比較試験(RCT)を検索した。2名のレビュアーが独立して論文のスクリーニング,データ抽出を実施した。中枢神経疾患患者の下肢身体機能および活動(歩行速度)に対して,RAGTと経頭蓋直流電気刺激(tDCS)や反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)などのNIBSの併用と,RAGTと偽刺激の併用との効果の差を評価した。RevMan 5.4(The Nordic Cochrane Centre, Copenhagen, Denmark)を用いてメタアナリシスを実施した。疾患(脳卒中 vs. 脊髄損傷)およびNIBSの種類(tDCS vs. rTMS)による差を検証するために,サブグループ解析を行った。
5つの研究(104名)がメタアナリシスに取り込まれた。RAGTとNIBSの併用は,RAGTと偽刺激の併用と比較し,中枢神経疾患患者の下肢身体機能に対する効果は有意に高かったが(標準化平均差(SMD)= 0.52;95%信頼区間(CI)= 0.06-0.99),歩行速度に対する効果については有意な差はなかった(SMD = -0.13;95%CI = -0.63-0.38)。サブグループ解析の結果, RAGTとtDCSの併用については,RAGTと偽刺激の併用と比較し,下肢身体機能および歩行速度両方の効果に対して有意な差がなかった。また,疾患やNIBSの種類による有意差は認められなかった。
RAGTとNIBSの併用が中枢神経疾患患者に対して有効であることが示されたが,この結果はNIBSの中にrTMSも含まれた結果である。RAGTとtDCSのみに着目すると,RAGTと偽刺激の併用と比較し,下肢の身体機能および活動の改善に対して有効性は示されなかった。